本州No.1ツーリングスポット:ビーナスライン

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ビーナスラインとは?

ビーナスラインは長野県茅野市から同県上田市を走る観光道路。ちょうど本州の真ん中あたりにあります。

北海道や九州の阿蘇と肩を並べる人気があり、雑誌などでは本州ではNo.1に挙げられることが多い有名ツーリングスポットです。

ウィキペディアによると「ビーナスライン」の由来は沿道にある蓼科山の山容を女神に例えたものだそうです。

全長約76km。平均標高 約1400mという高所にあり、最高地点は1959mにもなります。かつては有料道路でしたが、2002年に全線無料開放されました。

高原の中を走り抜けていく爽快感と、長くて広いワインディングがライダーの走り心を満たしてくれます。

冬は一部区間が通行止めになりますが、毎年4月には開放され、シーズンが終了する11月下旬ぐらいまで多くのライダーが走りにやってきます。

3つのエリアに分けられる

これは私が勝手に定義しているので一般的ではありませんが、ビーナスラインは大きく3つのエリアに分けられると思います。

アクセス区間(旧 蓼科有料道路)

茅野市街のR152から県道192号に入り、白樺湖までに至るまでの区間。

この区間は他と比べて見どころが少ないため、メインとなる白樺湖からの区間へのアクセスと考えておいた方がいいでしょう。

絶景区間(旧 霧ヶ峰有料道路 霧ヶ峰線)

県道40号の白樺湖から霧ヶ峰までの約13km。開けた草原の中を駆け抜けるビーナスラインで最も人気のある区間です。

途中、展望台がいくつかあるのでバイクを降りて景色だけを堪能することもできます。

ワインディング区間(旧 霧ヶ峰有料道路 八島・美ヶ原線)

県道194号の霧ヶ峰から美ヶ原高原美術館までの区間。展望は少なく、森の中をひたすら走っていきます。

およそ30kmにもおよぶ長いワインディングの最終盤には急坂の連続ヘアピンがあり、標高約1500mから2000m近くまで一気に駆け上がります。

それを抜けたところにビーナスラインの最高地点があり、そのすぐ先が終点の美ヶ原高原美術館です。


ここからは各区間の見どころを紹介していきます。

白樺湖~霧ヶ峰(絶景区間)

この区間はビーナスラインのハイライト。草原の向こうには八ヶ岳と南アルプス。標高1500mからの展望を眺めながら走っていると、本当に「バイク乗っててよかったなー」と実感できる場所です。

白樺湖

白樺湖は1周約4kmの湖。湖自体に何か特長があるというわけではないですが、リゾートホテルやレジャー施設などが集まる白樺高原エリアの中心です。

この一帯は高原リゾートということで、ミニ遊園地があったり、ボートや乗馬など、家族で楽しむアクティビティがメインになっています。

ライダーにおすすめできるものとしてはコンビニぐらい。なぜなら、ここはビーナスラインで唯一のコンビニなのです。

アクセス区間を除いて、ビーナスライン沿線のコンビニはここだけ。

茅野市街から30kmほど走ってきているので、最初の休憩ポイントとしても最適です。湖のほとりでリフレッシュするのもいいですね。

大門峠

県道40号とR152が交わる大門峠の交差点を通過すると、山々の木々がなくなり、爽快な高原ルートが現れます。ここからがビーナスラインのハイライト。

ここからどんどんテンションが上がっていく。

高原の中を駆け抜けていく爽快感でテンションが上がっていきます。まさにこの一瞬のためにツーリングに来たと言ってもいいほどです。

このままずっと走って行きたくなりますが、まずは左側に現れるチェーン装着場か、その先の白樺湖展望台駐車場にバイクを寄せましょう。

振り返ると山々に囲まれた白樺湖の全景が見えます。

車山高原

白樺湖に別れを告げてほどなくすると、車山の麓にあるレストハウスと広い駐車場が見えてきます。ここは車山高原SKYPARKスキー場。

手前のリフトを乗り継いで山頂まで行くことができる。

グリーンシーズンも営業していて、おみやげを買ったり、レストランで食事したりできます。車山山頂まで約15分で登れるリフトも稼働しています。

かならず立ち寄っておきたいのは2021年に創建されたばかりの「信濃國 単車神社」。神社といっても、鳥居と小さな祠があるぐらいですが、正式に本祀の社から分霊を迎えたれっきとした神社です。

鳥居の奥の階段を上った先に小さな祠がある。

鳥居には「竹あかり」というアートが施されていて、暗くなると竹に彫られた穴から光が漏れて幻想的な姿を現します。

車山高原を訪れたなら、ここで道中の安全を祈願してから旅を続けましょう。

富士見台

その名のとおり富士山が見える展望台。富士山は長野県からも見えるのです。

奥に見えるのは南アルプスの山々。

眼下に広がる高原の先には八ヶ岳と南アルプス。富士山はちょうどその間に見えます。

ここから富士山までの直線距離は約100km。距離があってもその存在感は健在です。

見えるかどうかは天候にもよりますが、富士山が冠雪している時期の方がわかりやすいです。

左が八ヶ岳、右が南アルプス、そして中央に富士山。

ここは駐車スペースが広いので、たくさんのライダーたちが愛車との記念撮影を楽しんでいます。

霧ヶ峰

霧ヶ峰はビーナスラインの西側の入り口とも言える場所。諏訪方面からアクセスする場合、ここがビーナスラインの起点になります。

県道40号と194号が交わる交差点には無料駐車場がある。

ここはビーナスラインの絶景区間とワインディング区間の境目。ツーリングルートの要衝にあたるため、多くのライダーが集まってきます。

駐車場からの展望はありませんが、時間があれば道路を挟んだ小高い丘の上まで行ってみましょう。グライダーの発着場があり、タイミングがよければ離発着を見ることができます。

丘の上にグライダーが見える。

霧ヶ峰~美ヶ原高原(ワインディング区間)

霧ヶ峰から県道194号を北に進み、美ヶ原高原美術館に至るまでの区間はワインディングが続きます。

和田峠で県道194号から県道460号に接続し、三峰茶屋付近で若干展望が開けたらまた森の中ををひたすら走ります。

美ヶ原高原が近づいてくると、勾配がきつくなり、一気に2000m近くまで駆け上がっていきます。山本小屋と美術館の分岐が現れたらゴール間近。

ビーナスライン最高地点を通過して、緩やかに下り始めるところに道の駅 美ヶ原高原の入口が見えてきます。

三峰茶屋

和田峠からしばらく北上すると、徐々に視界が開けてきて、やがて右に「三峰駐車場」という看板が現れます。

駐車場の奥には売店。ちなみに、この売店には水道が引かれていないのでトイレは有料。

道路から突き出すようにレイアウトされたこの駐車場は、やや狭いですが両サイドが開けていて、とても解放感があります。

売店の奥には小さな丘があり、その頂上から見えるのは360°の大パノラマ。天気のいい日は美ヶ原高原から車山、八ヶ岳まで見渡せます。

駐車場は30台ほどしか停められないので混雑時は入れないかも。

山本小屋・美しの塔

ビーナスライン終盤の分岐で「山本小屋」方面に向かうと町営の無料駐車場があります。

分岐の看板。

駐車場の先は未舗装路になっていて、関係車両以外通行止め。ここから先は約5kmのトレッキングコースになっています。

このトレッキングコースには美ヶ原高原のシンボル「美しの塔」があります。時間があれば、散歩がてら見に行ってみるのもよいでしょう。

往復で約2kmありますが、高原のきれいな空気を味わいながらリフレッシュできますよ。

美ヶ原高原のシンボル「美しの塔」

道の駅 美ヶ原高原

ビーナスライン最高地点の看板を過ぎるとゴールは目前。

最高地点の看板は油断してるとすぐに通り過ぎてしまうので注意。

最高地点から少し下って行くと、美ヶ原高原美術館の入り口が見えてきます。道の駅と美術館は併設なので、道の駅に美術館を目指せばたどり着けます。

建物の中には道の駅の売店、レストランと美術館の受付。ちなみにこの美術館は箱根・彫刻の森美術館の姉妹館だとか。

道の駅 美ヶ原高原はビーナスラインをひとしきり楽しんだライダーたちが集まるスポット。駐車場からは標高約2000mからの田市方面の市街地を見下ろすことができます。

まさに天空の駐車場。

美術館を回るのもおすすめです。美術館というと敷居が高いですが、ユニークな屋外展示もあるので肩ひじ張らずに楽しめます。

ただ、敷地が広大でアップダウンあるので時間と体力が必要です。

大型の展示物が多いのでたくさん歩くことは覚悟して。

ビーナスライン周辺

ビーナスライン周辺はツーリングスポットが集中しています。ビーナスラインだけでもお腹いっぱいになりますが、これらのルートも見逃せません。

美ヶ原公園沖線(裏ビーナスライン)

県道62号線の武石峠から美ヶ原自然保護センターまでの約5kmの区間。「裏ビーナスライン」と呼ばれていて、山の稜線に沿って快走路が続く絶景道です。

山の向こうまで続くワインディングが走り心をかきたてる。

美ヶ原自然保護センターで行き止まりになり、ここからは先述の山本小屋・美しの塔へつながるトレッキングコースになります。

終点の駐車場には「うつくしテラス」という売店があるのでここで一休みもできます。

なお、ビーナスラインには直接接続していないため、一度、美ヶ原高原を降りてからのアクセスとなります。

2024年9月現在、県道62号の番所ヶ原スキー場から武石峠までの区間は通行止めなっています。美ヶ原高原から県道464号経由で裏ビーナスラインへアクセスすることはできません。

蓼科スカイライン

白樺湖の北東、女神湖の近くから佐久市まで抜けていく快走路。

眺望は期待できないものの、途中にあるJAXA美笹深宇宙探査用地上局のパラボラアンテナは想像を絶する大きさ。思わず立ち止まって見とれてしまいます。

アンテナの横に停まっている大型バスと比較するとその大きさがわかる。

蓼科スカイラインを目指すなら、少し寄り道して県道40号線沿いの「牛乳専科もうもう」のソフトクリームがおすすめです。

ソフトクリームは牛乳とコーヒー牛乳の2種類から選べる。

メルヘン街道

八ヶ岳の北側に位置し、茅野市内の国道299号から麦草峠をはさんで佐久穂町へ抜けていく区間。

途中の麦草峠はビーナスライン最高地点よりも高い場所にあり、日本で2番目に標高が高い峠です。

メルヘン街道はその名前とは裏腹に、全区間ほぼワインディングになっていて息つく暇がありません。走りを存分に楽しみたい人におすすめのルートです。

ビーナスラインへのアクセス

まずは白樺湖か霧ヶ峰を目指そう

はじめてビーナスラインを訪れるのなら、まずは白樺湖~霧ヶ峰間の景色を楽しんでから、徐々に標高を上げながらのワインディングを楽しむのがおすすめです。

西から来るなら霧ヶ峰、東から来るなら白樺湖が近いです。どっちがいいというのはありませんが、交通量が少ない時間帯なら国道152号線で白樺湖方面へ向かう方が楽です。

時間や帰りのルートに合わせて計画しましょう。

R153とビーナスラインが交わる大門峠。

美ヶ原高原からのアクセス

美ヶ原高原のある北側からのアクセスも可能ですが、狭くてきついワインディングが続きます。北からのアクセスはストイックなので何度かビーナスラインを訪れてからの方が良いと思います。

和田峠からのアクセス

諏訪市と佐久市を結ぶR142からビーナスラインのワインディング区間中間にある和田峠へアクセスできます。

このルートは比較的アクセスしやすいですが、ビーナスラインに出てくるところが中途半端。最初に霧ヶ峰方面、美ヶ原高原方面のどっちに向かうかを決めておきましょう。

これだけは気を付けて

ビーナスラインはライダーの聖地。走っているバイクの数も桁違いに多いです。

一言にバイクと言っても、排気量も違えば、スタイルもエンジン特性も違います。また、初心者からベテラン、ソロもいればグループもいたりと、走りのペースが本当に人それぞれです。

そんないろんなバイクとライダーが多い場所だからこそ気を付けたいことが3つあります。

  • 後続車に注意しよう
  • 節度を持って走ろう
  • ガソリン残量を確認しよう

後続車に注意しよう

先行車もなく、気持ちよく走っていると、後方からものすごい勢いでバイクが迫っていることに気付かないことがあります。

特にワインディング区間は、前方のコーナーに注意が行きがちなので、気づいたら後方にバイクがいたなんてことも。

せっつかれたら無理せず、左に寄ってウインカーを出してスローダウンしましょう。すぐに追い越して行ってくれます。

追い抜かれる際に「ありがとう」のハンドサインをもらえたりするので、これはこれで嬉しいものです。

お互いに気持ちよく走れるように、ペースの差があるときは早めに譲ってあげましょう。

節度を持って走ろう

いろんなバイクが走っているビーナスライン。ライダーの個性もさまざまです。

しかし、残念ながらイエローラインのカットや無理な追い越しなど、無謀な運転を見かけたりすることがたまにあります。(本人はそう思ってないでしょうが)

ビーナスラインに限ったことではないですが、道路上はバイク以外の車両も多く走っています。先行車がいるときは自制しましょう。

これは身の安全のためでもあるし、世間のドライバーに「バイク=危ない」という印象を持たれないようにするためのライダーの務めでもあります。

急ぐ旅でなければ、しばらく脇に寄せて間を取りましょう。遅い車の後ろをイライラしながらついていくよりも、自分のペースで走れるように工夫した方が気持ちが楽です。

ガソリン残量を確認しよう

ビーナスラインにはガソリンスタンドが数件しかありません。

全長約76kmのうち、で給油できる場所は白樺湖付近か、もう少し南に下った茅野市街ぐらい。霧ヶ峰から美ヶ原高原方面はゼロなので要注意です。

走破しようとすると往復で100km以上は走るので、ガソリン残量が十分にあることを確認しておきましょう。

まとめ

バイク乗りなら一度は走ってみたいビーナスライン。ベストシーズンは「冬以外」です。バイクのシーズンならいつでも楽しめます。

春はまだ肌寒いですが、たくさんのライダーがいるのでシーズンの始まりを実感できます。

夏は猛暑の日でも平地にくらべて5℃以上は涼しいので避暑ツーリングとして最適です。

秋はその訪れを一足先に実感できる場所でもあります。

広大な草原の中を駆けていく爽快感は何度来ても心地よいものです。

秋は草原がススキに覆われて黄金色の世界に。

すれ違うバイクの数も桁違いで、みんなテンションが上がってるので「ヤエー」の連発です。

道の駅 美ヶ原高原の駐輪場。平日でもこんな感じ。

本州随一のツーリングスポット、ビーナスライン。景色も走りも十分に満足させてくれるので、バイクライフの中で一度は訪れておくべき場所です。

特にバイクとの倦怠期に入ってる方におすすめします。ビーナスラインを走ることでバイクで走る楽しさがよみがえってくると思います。

走ってみたいと思ったらすぐに旅の計画を。ちょうど日本の真ん中にあるので、どこからでもそんなに遠くないはず(?)です。

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