はじめてのSSTR完全ガイド ①準備編

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SSTRへのエントリーから出走前の準備について体験談などを交えて解説します。

当日のスタートからゴールについては「出走編」をご覧ください。
はじめてのSSTR完全ガイド ②出走編

SSTRって何?

SSTRゴール地点
SSTRのゴール地点。砂浜の奥の方までバイクで埋め尽くされています。

SSTRとは”Sunrise Sunset Touring Rally”の略称で、直訳すると「日の出日の入りツーリングラリー」。

参加者は日本列島の東海岸の任意の場所からスタートし、日本で唯一砂浜を走ることができる公道、石川県の千里浜なぎさドライブウェイを目指す日本最大級のツーリングイベントです。

また、単にゴールを目指すだけでなく、日の出以降に出発し、所定のチェックポイントを通過しながら日の入りまでにゴールすることが完走条件となります。

「Chasing the Sun」(太陽を追い駆けろ)というテーマのもと、北は北海道から南は鹿児島まで、日本全国のライダーたちが千里浜に集結します。

「ラリー」といっても、速さや順位を競うものではなく、自分のツーリングを楽しみながら一定の条件を満たして無事にゴールする自己完結型の平和なイベントです。

2013年に130人の参加で始まったSSTRは、2023年現在、合計12,000台が参加するほどの大型イベントに成長。今や自治体や各地の道の駅、国内主要二輪メーカー、たくさんのバイク関連の会社が協力・協賛しているのだ。

SSTRのルール

ゴール(完走)の条件

  • 日本海の反対側となる海岸を、日の出時刻以降にスタートする
  • 指定の道の駅の中から1か所以上に必ず立ち寄る
  • 道の駅や高速道路のパーキング/サービスエリアなどに立ち寄り、立ち寄りポイントを15点以上獲得する
  • 石川県の千里浜なぎさドライブウェイに同日の日の入り時刻までに到着する

出発は「日の出時刻以降」なので、日の出とともに即スタートというわけではありません。自身が決めたスタート地点から間に合う計算でスタートすれば良いので、早起きが苦手でもなんとかなります。(それでも朝早いですが)

スタート/ゴール時刻、どこに立ち寄ったかの記録はすべてスマホを使って入力します。各地点でライダー自身が位置情報を取得してシステムに送信します。

立ち寄りポイント15点以上を獲得して、日の入り時刻までに千里浜なぎさドライブウェイの位置情報を登録すれば完走が認められます。

上記は2023年のルールだよ。ゴールの条件は年によって変わるので注意してね。

立ち寄りポイントの種類

SSTRシステム(マップ画面)
SSTRシステムのマップ表示。

立ち寄りポイントはSSTRシステムやルールブックで確認することができます。立ち寄りポイントには次の種類があります。

  • 指定の道の駅:3点
  • 指定以外の道の駅:2点
  • 高速道路のパーキング/サービスエリア:1点
  • 岬ボーナスポイント:3点
  • びっくりボーナスポイント:3点

指定の道の駅はかならず立ち寄るので、その3点を差し引いた12点を他の立ち寄りポイントで稼いでいきます。

「岬ボーナスポイント」はスタート地点専用です。指定の岬から出発することで3点がもらえます。

「びっくりボーナスポイント」は開催日の午前0時に発表されるので、その日に立ち寄れるかどうかは走行ルート次第です。

また、追加ルールと呼ばれる特別なミッションをクリアすると、スペシャルデザインの「完走記録証」をダウンロードできるようになります。
・道の駅20か所以上立ち寄り
・指定道の駅5か所以上立ち寄り
・石川県内の道の駅全26か所制覇
・びっくりボーナスポイント5か所以上立ち寄り

ちなみに、獲得ポイントの多さやゴールまでのタイムの早さによる特典はないよ。もともと順位を争うものではないのでゆっくり楽しんで行こう。

SSTRへのエントリー

近年、SSTRの日程は前年12月に発表され、当年1月に開催要項とエントリー方法が案内されるようです。

開催の半年前には日程がわかるので、前もって予定を入れておきましょう。ちなみに2023年のエントリー開始日は2月12日午前6時49分でした。

エントリー開始時刻がエラく中途半端な時刻なのは、日本の標準子午線となる兵庫県明石市の日の出時刻に合わせているから。SSTRらしい粋な演出だね。

開催日程(2023年)

ここ数年は5月開催で定着しており、2023年の場合は以下の日程でした。
・5/20(土):3,700台
・5/27(土):3,700台
・5/21(日)〜26(金)オープン制:計2,600台

開催期間は8日間。土曜日は応募した日付のみ参加可能です。そのほかの曜日はオープン制になっていて、この期間のうち、好きな1日に出走できます。ちなみに、よほどの荒天でない限り雨天決行です。

参加費

参加部門によって料金が異なります。

【一般】
・ソロ  12,000円
・タンデム:2名分 20,000円

【アンダー22】(5月20日時点の年齢が満22歳以下)
・ソロ 11,000円
・タンデム(2名とも22歳以下):2名分 18,000円

【障がい者割引】(障がい者手帳所持者)
・ソロ  11,000円
・タンデム(どちらかの方が手帳所持者):2名分 18,000円

【子連れ割引】(同乗者が中学生以下。親子以外も可)
・タンデム:2名分 18,000円

エントリー方法

2024年からエントリーシステムが変更されています。下記は2023年のエントリー方法です。

エントリーはSSTRのページから「SPORTS ENTRY」という専用サイトにジャンプして行います。大まかな流れとしては次のとおりです。

  1. 「SPORTS ENTRY」のメンバー登録(無料)をする
  2. エントリー情報の下書きをつくる
  3. エントリー開始日時に申し込む

上記の1と2はエントリー開始の前に済ませておくことができます。

問題は3です。イベントの知名度が上がってきたのと、近年のバイクブームの影響もあってか競争率が非常に高くなっています。

特に土曜日の出走希望者は多いと思われるので、エントリー開始と同時に申し込まなければ間に合わないと考えておく方が無難です。

北國新聞の2023年2月14日の記事によると、受付開始後3時間で定員に達したとか。実はこのイベント、エントリーすることが最大の難関なのだ。

出走までの準備

無事エントリーできたら、しばらくは待つだけです。ときどき、登録アドレスにSSTRからのお知らせが届くのでチェックしておきましょう。4月下旬に事前発送物が届いてから準備を始めても間に合います。

宿を予約する

エントリーできたらすぐに宿を押さえておきましょう。

ゴール地点の羽咋市も宿泊をサポートしてくれていますが、周辺の金沢市、富山市周辺までライダーがあふれることが予想されます。

また、ゴールする時間帯によっては、千里浜から出発する時点ですでに日が暮れていたり、または宿への移動中に日没を迎える可能性もあります。

しかも、当日は早朝から走り続けて疲労もかなり蓄積していることでしょう。ゴール後、その日を無事に終えるためにも、できるだけ近い場所に宿を取っておくと安心です。

夜間の長距離移動はできるだけ避けよう。

事前発送物が届く

出走の約1か月前に事務局から以下の品物が届きます。

SSTR事前送付物

① ルールブック/スタンプシート
SSTRのルールがすべて書かれている小冊子です。基本的にはホームページに掲載されている内容と同じですが、後半は道の駅のスタンプシートになっていて、旅の記念品になりそうです。

② リストバンド
参加者であることを証明するリストバンドです。当日は常時着用が求められています。道中の各地で開催されているSSTR参加者限定のサービスを受けるときなどにも使います。

③ ゼッケンステッカーシート
参加車両に貼るゼッケンです。ここで初めて自分のゼッケン番号がわかります。

④ 参加賞
SSTRロゴ入りの防水バッグです。当日が雨ならこれを使いましょう。参加賞は毎年変わります。

⑤ 試供品
2023年は協賛のシュアラスター社からエンジン添加剤とヘルメットの抗菌消臭剤のプレゼントでした。SNSへのレビューでゴール後にプレゼントがもらえるキャンペーンもあります。

スタート地点とルートを決める

当日、行き当たりばったりで走ることも可能ですが、「日の入り時刻に間に合わない!」ということがないようにルートはあらかじめ計画しておきましょう。

次のような流れで確認するとイメージしやすいです。

  1. スタート地点を決定する
  2. 持ち時間を確認する
  3. 所要時間を算出する
  4. 指定道の駅を決定する
  5. 立ち寄りポイントを検討する

1. スタート地点を決める

ざっくり言うと、本州および九州の日本海沿岸を除いてはすべてスタート地点として認められます。

SSTRでスタート地点として定義されている「東の海岸線」は、太平洋はもちろんのこと、瀬戸内海でも東シナ海の沿岸も該当します。もちろん、太平洋側に面している湾内(東京湾、駿河湾、伊勢湾など)もOK。

そして北海道は全域の沿岸で出発可能です。ちなみに沖縄は制限時間内には到底たどり着けそうにないので対象外のようです。

「岬ボーナスポイント」を狙わないのなら、アクセスしやすい近場の海岸線でいいと思います。

日本海側に住んでる人はスタート地点に行くまでが大変。前日出発でスタート地点付近に移動しておいた方がいいかも。

2. 持ち時間を確認する

スタート地点の日の出からゴール地点の日の入りまで何時間あるか確認しましょう。

調べ方は簡単。Google検索で出走日、出発地名に加えて「日の出」と入力するだけです。たとえば、静岡県の御前崎から5月20日に出走する場合は「5/20 御前崎 日の出」で検索します。

ゴール地点の日の入り時刻はルールブックに載っているので、そこから持ち時間がわかります。

日の出時刻検索
ちなみにこの例だと、持ち時間は14時間16分です。

3. 所要時間を算出する

Googleマップで出発地からゴール地点までの所要時間を調べます。

Googleマップルート設定
Map data ©2023 Google

① 出発地点
出発地点を右クリックして「ここからのルート」を選びます。

到着地点
千里浜なぎさドライブウェイを表示して、右クリックで「ここへのルート」を選びます。

ルートオプション
「オプションを表示」をクリックすると、高速道路や有料道路を使わない設定も可能です。

Googleマップの所要時間は休憩なしの時間だよ。休憩と食事の時間も忘れずに加えておこう。

所要時間が持ち時間を下回るようにうまくルートを設定しましょう。

4. 指定道の駅を決める

完走条件の一つ「指定の道の駅の中から1か所以上立ち寄ること」の場所を決めます。

SSTRシステム(マップ画面)
わかりづらいけど、オレンジのアイコンが指定道の駅です。(SSTRシステムのマップ表示より)

指定の道の駅はだいたい50~100km圏内に1か所あります。序盤、中盤、終盤のどのタイミングで立ち寄るかでルート選定も変わってくるので、どこに寄るかを決めておきましょう。

ちなみにゴールに最も近い指定の道の駅は「倶利伽羅 源平の郷」と「万葉の里 高岡」の2つ(2023年現在)。どちらも千里浜なぎさドライブウェイから30kmほど離れた場所だよ。

5. 立ち寄りポイントを検討する

指定道の駅で獲得できる3点を差し引いた、残り12点の取り方を考えておきます。

これは大体の方針で構いません。長丁場のSSTRでは道の駅で休憩することさえ心がけていれば、そんなに苦労しなくても点数が稼げます。

計画ルート上の道の駅を押さえておき、最後は石川県内に入ってから調整でもいいでしょう。

SSTRシステムを使ってみる

SSTRシステム

ゴールデンウイーク直前、登録したアドレスに「SSTRシステム試用期間のお知らせ」のメールが届きます。

メールには初期パスワードとゼッケン番号が案内されているので、指定のURLにアクセスしてログインします。

操作は現在地情報を読み込んでから、オドメーターの距離を入力して送信、という流れです。くわしい手順は事前送付されるルールブックにも書かれています。

SSTR開催の2日前までがシステム試用期間になっています。実際の地点登録ができるので、当日モタつくことがないように練習しておきましょう。

なお、試用期間中は登録した情報が毎日0時にリセットされます。

現在地が読み込めない場合は、ブラウザの位置情報の利用が許可されていないことが考えられるよ。

車両のメンテナンスをする

サービス中

SSTRは長丁場です。最短ルートを選んだとしても1日300kmぐらいは走ることになります。

最短ルートでさえその距離ですから、マシンは万全の状態で臨む必要があります。タイヤの空気圧、オイルやチェーンの状態などを確認しておきましょう。

当日は朝早いので、ガソリンスタンドが開いていない可能性も。出発早々ガス欠なんてことがないように満タンにしておこう。

ルールブックには書かれていない「モノ」を用意する

ゴール地点の千里浜なぎさドライブウェイは日本で唯一砂浜を走る公道です。

ゴール地点ではたくさんの人たちが浜辺にマシンを停めて写真撮影をしたり、通過するライダーに手を振ったりしています。

一見、思い思いに楽しんでいるように見えますが、このライダーたち全員に共通するものが一つあります。しかも、それはルールブックにも書かれていません。

浜辺にバイクを停めて記念撮影。隠された共通点とは?

実はこの千里浜、普通にバイクを停めようとするとサイドスタンドがめり込んでしまうのです。そのため、みんな何か固い板状の「モノ」をサイドスタンドの下に置いて停めています。

SSTRスタンド設置
以前、千里浜に来たときの「モノ」。ふらっと立ち寄ったので現地調達しました。

車体が軽ければなんとかなりますが、大型バイクを停めるにはスタンドの接地面にかかる力を分散する「モノ」が必要です。

平たい石や木の板、市販のサイドスタンドプレート、何でもいいので用意して、いつでも取り出せる場所に入れておきましょう。また環境保全のため、使った「モノ」は忘れずに持って帰りましょう。

誰かが残していった「モノ」が落ちてたりするけど、バイクに乗りながら混雑した浜辺で探し当てるのは至難の業。そもそもバイクを停められないので拾うこともままなりません・・・

ゼッケンの貼り付け

ゼッケンステッカーシートにはゼッケン番号のステッカーが5つありますが、ルール上は車体正面と左右の3か所に貼り付けておけばOKです。

SSTRゼッケン

条件は写真撮影したときに、ゼッケンが映る場所に貼ること。側面のステッカーは乗車時にライダーの身体で隠れない場所を選びましょう。

なお、積載物に貼ることは許されていますが、ライダー自身に貼り付けたものはゼッケンとして認められません。(余ったゼッケンをヘルメットに貼っている人はよく見かけます)

ただ、あんまり早いうちに貼っておくと、SSTRを知っているライダーから話しかけられたりもするので、今は出走中じゃないことをイチイチ説明するハメになります。


準備はここまで。あと、SSTRはとにかく朝が早いので、当日に向けて早起きの習慣を身に着けておこう。

まとめ

細かい準備はいろいろありますが、次のことを押さえておけばあとは当日でなんとかなります。

  • エントリー受付開始直後すぐに申し込む
  • 宿を早めに予約する
  • 大まかなルートと所要時間をイメージしておく
  • 前日までにガソリンを満タンにしておく
  • 千里浜でバイクを停めるための「モノ」を準備する

とにかく大事なのはエントリーに遅れないこと。参加できないとまた1年待つハメになります。

以上、SSTR参加のための準備を説明してきました。当日のスタートからゴールについては「出走編」で説明します。お楽しみに!

はじめてのSSTR完全ガイド ②出走編

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