長野県と群馬県にまたがる碓氷峠。旧中山道が通るこの峠には、古くからしげの屋という茶屋があります。
なんと創業350年。時代劇などでよく見かける、あの「峠の茶屋」が現代まで続いているのです。
この店の名物が「ちからもち」(力餅)。江戸時代、かつて交通の難所だった碓氷峠を登りきった旅人たちが味わった庶民派スイーツが現在まで受け継がれています。
名物ちからもち
「ちからもち」というので、さぞかし精がつくビジュアルと思いきや、意外にも一口サイズの団子が8個ほど竹のお皿に並べられて提供されます。
味は甘味(あんこ)、黄味(きなこ)、黒味(ごま)、胡味(くるみ)、辛味(大根おろし)、みそくるみの6種類。小ぶりなので一度に数種類の味を楽しめます。
持ち帰りもできますが、保存料不使用のため当日中には食べなければなりません。まさに、ここでしか食べられない一品です。
「ちからもち」の由来は平安時代にこの地に生まれた碓井貞光という武将だそうです。幼いころから力が強く、成人後は源頼光に仕える四天王として活躍しました。ちなみに「足柄山の金太郎」こと坂田金時はこの四天王のひとり。
店を横切る赤ライン
しげの屋は群馬県と長野県の県境にまたがっていて、両県の住所を持っている非常に珍しいお店です。
店の前には県境を示す看板があり、赤いラインが敷地内の駐車場を横切っています。店の入口は群馬県側、店内に入ると長野県側(右側)に飲食スペースが広がっています。
広々としたテラス席もあり、気候の良い時期は気持ちよさそうです。このテラス席への出入口がちょうど県境の上にあり、赤いラインが店内を横切っています。
トイレには行っておこう
これは「トイレを済ましておきましょう」という意味ではなく、「トイレを見ておきましょう」ということをお伝えしています。
しげの屋のトイレはなんと壁一面がガラス張り。とても解放感あふれる空間になっています。また、洗面台なども趣向が凝らされていて一見の価値ありです。ちなみにトイレは長野県側です。
向かいには熊野皇大神社
しげの屋に行くなら、合わせて行きたいのが熊野皇大神社。店の真向かいにあります。毎年、しげの屋のちからもちが福餅として奉納されているそうです。
実はこの神社も県境にまたがっています。しかも、長野県側が「熊野皇大神社」、群馬県側が「熊野神社」と、別々の宗教法人が運営している珍しい神社です。
「熊野」の名を冠する神社は全国各地にありますが、中でもこの2つの神社は「日本三大熊野」と呼ばれる主要な神社群として位置づけられています。
余談ですが、熊野皇大神社はその由緒とは裏腹に公式サイトがポップなので面白いです。
しげの屋までのアクセス
2つの県にまたがっているしげの屋ですが、碓氷峠の群馬県側はトレッキングコースのため車両は通行できません。よって、バイクでは長野県側からのアクセスとなります。
場所は軽井沢のメインストリートである銀座商店街をずっと進んだ先にあります。途中いくつか分岐があるのでナビに案内してもらった方が安心です。
お店の駐車スペースは10台程度。店の前は観光客や車の往来が多く、道幅もそれほどないのでバイクは停められそうにありません。
グループで訪れるなら、店の駐車場の1台分のスペースを使わせてもらうのがいいでしょう。ソロの場合は、しげの屋の手前にある見晴台の駐車スペースか、しげの屋を通り過ぎて奥まで行った場所なら停められそうです。
コメント