東北の犬たちを訪ねて

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東北「犬ツーリング」

ツーリングの目的地にはいろいろありますが、今回はテーマを「犬」に絞ってお届けしようと思います。

といっても、生の犬に会いに行くわけではなく、犬にちなんだスポットをめぐる旅です。

猫カフェに猫の島、猫駅長など、猫のスポットは各地にありますが、犬スポットといえば渋谷のハチ公像ぐらいしか思い浮かびません。

でも、犬にちなんだスポットもまだまだあるはず。そう思ってGoogleマップを探検していたら、「犬しばり」でツーリングできそうなルートが見つかりました。

場所は東北地方、秋田県と青森県をまたいだ約200kmのルートです。犬にちなんだスポットを中心に、珍スポットや景観スポットを織り交ぜながら紹介していきます。

秋田犬会館

秋田県大館市にある秋田犬保存会の本部です。

秋田犬保存会は昭和2年(1927)に設立された歴史ある団体。その設立50周年を記念して秋田犬発祥の地である大館市に建てられたのがこの建物です。

3階建ての立派な建物の1階は事務所、2階と3階が博物室になっています。博物室は入館料200円を払えば一般の人でも見学できます。

秋田犬の歴史や生態、保存会の取り組みなどをくわしく知ることができます。

曜日によっては秋田犬にも会えますが、ケージ越しでふれあうことはできません。

秋田犬は日本犬唯一の大型犬種。近づくのには少し勇気がいります。

そもそも秋田犬は「ワンオーナー・ドッグ」と呼ばれ、飼い主以外にはあまり懐かないと言われています。

また、あまり知らない人に触られることもストレスになるので、ふれあいをしていないのは秋田犬への愛情があるからこそ。さすがは秋田犬保存会です。

犬とのふれあいを楽しむというよりは、秋田犬を深く知るための施設として尋ねてみましょう。

わさお像

青森県鰺ヶ沢町にある「ぶさカワ犬」わさおの像です。

「ぶさカワ」とは「ぶさいくだけどカワイイ」の略。わさおはその「ぶさカワ」ぶりが2008年ごろにネットで話題になり、たびたびテレビに登場するようになります。

そして、飼い主の菊谷さんのキャラクターも相まって、すぐに全国に知られる有名犬に。グッズや写真集、さらには映画まで作成されるほどの人気ぶりで、地元の特別観光大使にも任命されました。

また、日本ユネスコの世界自然遺産特別大使犬(ワンバサダー)、JR鯵ケ沢駅の観光駅長なども歴任しています。

もともと迷い犬だったわさお。菊谷さんと出会って、あっという間に人気者になり、町おこしに貢献するというサクセスストーリーは多くの人の関心を寄せました。

残念ながら、2020年にその生涯を終えましたが、その功績をたたえて「海の駅わんど」に記念像が設置されています。

ちなみに「海の駅わんど」はわさおと菊谷さんが出会った始まりの場所。そこに現れたわさおの生き写しのような記念像は、今なお人々をここに呼び寄せています。

いずれは渋谷のハチ公像と肩を並べるほどの存在となるでしょう。

あおもり犬

青森県立美術館に展示されている真っ白な犬の立体像。「あおもりけん」と呼びます。

高さ8.5mという巨大な作品で、前足の先と下半身がないので、まるで地面から出てきたような印象を受けます。

うつろな表情が何かを語りかけているように感じます。

作品は弘前市出身の奈良美智氏によるもの。奈良氏といえば、挑戦的な目つきの子供のイラストが有名です。企業とのコラボやグッズもよく見かけるので、一度は見たことあるという人も多いかも。

この作品は奈良氏の作品展示の近くにあり、ふと窓の外に目をやると巨大な白い犬が目に飛び込んできます。

美術館の作品ですが、ここだけは撮影OKです。

窓越しに見ると、周りをコンクリートの壁で囲まれた空間に無表情の犬のオブジェがいて、現実とは思えない景色です。

外に出て、作品の近くまで行くこともできます。見る角度や日の当たり方によって表情が違って見えるので、いろんな時間や場所で感じ方が変わる不思議な作品です。

建物と空間すべてがアートになっています。

青森県立美術館は2006年開設の比較的新しい美術館で、建物自体も洗練された造形をしています。「あおもり犬」だけでなく、他の作品や建物の空間演出なども楽しめる場所になっています。

おまけ

犬からは離れますが、今回のルートの途中にはちょっとした見どころが3つあります。

1つ目は木造駅。

巨大な土偶が駅舎に張り付いている珍スポットです。なぜに土偶かというと、この付近にある亀ヶ岡石器時代遺跡から出土した遮光器土偶にちなんでいるため。

列車の到着にあわせて目が発光するというギミックも。「子供が怖がる」と苦情が出て一時中止されるも、その後、LED化して7色×4パターンの発行で復活。今では「シャコちゃん」の愛称で地元の人に親しまれています。

2つ目は鶴の舞橋。

ゆるやかなアーチがまるで鶴が羽を広げている姿のよう。

津軽富士見湖に架けられた木造の三連太鼓橋です。

3つのアーチ橋と2つの東屋で構成されていて、その長さはなんと300m。青森県産のひば材がふんだんに使われていて、その造形美は一見の価値ありです。

ロケーションも抜群で、橋の向こうには「津軽富士」と呼ばれる岩木山があり、晴れた穏やかな日には湖面に映る「逆さ津軽富士」も拝めます。

そして、3つ目は鯵ヶ沢相撲館。

地元出身力士、舞の海の功績をたどる記念館です。わさお像のある海の駅わんどの2階にあります。

舞の海は平成初期に活躍した人気力士。身長171cmという小兵ながら小結にまで昇進しました。多彩な技で大型力士を倒していく様子から「技のデパート」と言われていました。

館内には名取組20選が放映されていて、思わず見入ってしまいます。

まとめ

今回紹介した犬スポットの位置関係はこんな感じです。

秋田県と青森県をまたぐ三角地帯。この内側には岩木山や鶴の舞橋、木造駅の土偶像などの見どころが満載です。

どこからスタートしても同じようなルートになりますが、秋田犬会館だけは他の2つのスポットから少し距離があります。

なお、各スポットの営業時間は次のとおり。

  • 秋田犬会館:9:00~16:00
  • わさお像(海の駅わんど):9:00~17:00
  • あおもり犬(青森県立美術館):9:30~17:00

だいたい9時ぐらいに最初の目的地に到着する計画を立てればうまく回れるでしょう。

ちなみに、わさお像は屋外展示なので海の駅わんどの営業時間外でも見ることができます。また、青森県立美術館は全部見て回ると2時間ぐらいかかるので時間配分に気を付けましょう。

いかがでしたか?犬しばりのツーリング。
走りを満たすツーリングもいいですが、こうしてテーマを決めて走るのもツーリングの楽しみ方のひとつ。さっそくGoogle Mapを開いて、自分だけのテーマを探してみましょう。

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