船旅ツーリングのすすめ 準備編

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今回は船で出かけるバイク旅についてご紹介します。

「船旅はしてみたいけど、どうしたらいいかよくわからない」という方は、参考にしてもらえるとうれしいです。

今回は「準備編」として船旅ツーリングのポイントと国内の主要フェリー航路ご紹介します。

船旅に出かけよう

船旅というと、何となく離島へ行く旅をイメージするかもしれませんが、本土内(北海道、四国、九州を含む)で往来する航路もたくさんあります。

たとえば、大阪と大分県の別府を往復する「さんふらわあ」は陸路でも行ける場所をつなぐ航路です。

陸路なら約8時間の距離ですが、フェリーだと約12時間。料金はフェリーの方が1万円ほど高くなります。

「時間もお金もかかってて損なのでは?」と思われるかもしれませんが、船旅にはそれらをカバーできるメリットがあります。

船旅のメリット

フェリーでの移動にはどんなメリットがあるのか?陸路で移動する場合と比べてみましょう。

身体を休められる

長距離フェリーはお風呂も完備

第一に、フェリーは陸路よりも身体への負担が少ないのが特長です。

さきほどの「さんふらわあ」を例にすると、大阪~別府間は陸路だと約650km、高速道路を使って約8時間の距離です。

バイクでの移動だとこれは重労働。走行風にさらされ続けて消耗し、現地に着くころにはヘトヘト。こんな調子ではもうツーリングは楽しめません。早く宿に入って休みたくなります。

一方、「さんふらわあ」なら夕方に大阪南港を出発。晩ごはんを食べて、お風呂に入って、ひと寝入りしたら翌朝には別府に到着です。

体調万全でしかも現地で朝から活動できるので現地でのツーリングを存分に楽しめます。

移動を楽しめる

瀬戸内航路では明石大橋の下をくぐる体験もできる

バイクの運転が好きでたまらないなら問題ないですが、さすがに8時間も走り続けると飽きてきます。

高速道路は景色の変化が少ないのでなおさら。しかも高速で走っているので身体も心も緊張を強いられます。バイクの乗車姿勢によっては、腕はパンパン、首、肩、腰は悲鳴を上げてくるかもしれません。

一方、フェリーの場合、(特に初めて乗る場合は)すべてがイベントになります。

バイクの積み込みに始まり、デッキから眺める夕日や日の出、海の景色、そして食事から入浴、睡眠にいたるまで海の上という非日常を味わえます。

バイク旅に使えるフェリー航路

バイク旅で使えそうなのは本州から北海道、または四国や九州を結ぶ航路です。特に陸路ではアクセスできない北海道は便数が充実しています。

東日本航路

東日本のフェリーは北海道便が中心。苫小牧、小樽、函館へのアクセスがあります。特に苫小牧は多くの会社が乗り入れていて、北海道ツーリングの玄関口ともいえます。また、東京湾フェリー、駿河湾フェリー、伊勢湾フェリーは1時間ほどの手軽な船旅が楽しめて陸路より快適なのでおすすめです。

フェリー会社航路時間距離
新日本海フェリー敦賀〜苫小牧
舞鶴〜小樽
新潟~秋田~苫小牧
新潟~小樽
秋田~苫小牧
21時間
20時間
19時間
16時間
11時間
830km
770km
504km
540km
315Km
太平洋フェリー名古屋〜仙台〜苫小牧40時間1330Km
商船三井さんふらわあ大洗〜苫小牧19時間583Km
シルバーフェリー八戸~苫小牧8時間250km
伊勢湾フェリー鳥羽~伊良湖1時間23km
駿河湾フェリー清水~土肥1.5時間23km
東京湾フェリー久里浜~金谷40分12km
津軽海峡フェリー青森~函館
大間~函館
3.5時間
1.5時間
114km
33km

西日本航路(関東 ⇔ 九州)

西日本方面は関西と四国に便が集中していますが、実は関東発の航路もあります。距離があるのでがそれなりに時間がかかるのですが、船旅をじっくり味わいたい人にはおすすめです。

フェリー会社航路時間距離
オーシャン東九フェリー東京〜徳島〜北九州34時間1151Km
東京九州フェリー横須賀〜新門司21時間976Km

西日本航路(関西 ⇔ 九州)

西日本は関西~九州便が充実しています。この路線は夕方以降に出発して翌朝に到着するため、基本は船中泊となります。早朝の到着なので現地でのツーリング計画を立てやすいのが特長です。

フェリー会社航路時間距離
商船三井さんふらわあ大阪〜志布志15時間583Km
宮崎カーフェリー神戸〜宮崎12.5時間495Km
阪九フェリー泉大津〜新門司
神戸〜新門司
12.5時間
12.5時間
491Km
454Km
名門大洋フェリー大阪〜新門司12.5時間458Km
商船三井さんふらわあ大阪〜別府
神戸~大分
12時間
11.5時間
435Km
448Km

西日本航路(四国 ⇔ 関西・九州)

四国には明石、瀬戸、しまなみの連絡橋が3つありますが、関西と九州からアクセスするにはフェリーの方が便利です。特に九州便は複数の会社が就航していて、深夜便もあるのでスケジュールの自由度が高いです。

フェリー会社航路時間距離
南海フェリー和歌山~徳島2時間61km
ジャンボフェリー神戸~高松4.5時間170km
オレンジフェリー大阪~東予
神戸~新居浜
8時間
7.5時間
240km
237km
瀬戸内海汽船石崎汽船広島~松山
呉~松山
3時間
2時間
100km
70km
防予フェリー周防大島松山フェリー柳井~松山2.5時間60km
国道九四フェリー佐賀関~三崎1時間31km
宇和島運輸フェリー別府~八幡浜3時間89km
九四オレンジフェリー臼杵~八幡浜2.5時間67km

船旅のプランニング

旅の計画にフェリー移動を入れる場合、時間のコントロールが大事になってきます。陸路だけのツーリングは時間が押してもなんとかなりますが、フェリーの場合、乗り遅れるとそこで計画が立ち行かなくなってしまう可能性があります。

出航1時間前には港に到着

フェリーも飛行機と同じようにチェックイン手続きが必要です。セキュリティチェックはありませんが、手荷物を預けるのと同様に、バイクを船へと積み込まなければなりません。そのために待機する時間がかかります。

バイクの積み込みはまとめて行われることが多い

積み込みはトラック、乗用車、バイクとカテゴリごとに行われるのが一般的です。フェリー会社によって積み込む順番が異なります。

少なくとも出航1時間前には港に着いて待機しておきましょう。

なお、出発時刻は船が港を出る時刻を指します。いくら予約をしていても、直前の到着だと、積み込み順の関係から乗せてもらえない場合もあります。

次の便があればいいですが、長距離フェリーは1日1便の場合もあるので乗り遅れたらそこでアウトです。

到着してもすぐには出発できない

到着時刻はあくまで船が港に着く時間。そこから下船作業が始まります。船に積み込んだ車両を順番に出していくので、許可が降りるまでは待機となります。

船から出て行くこの瞬間がたまらなくワクワクする

航路にもよりますが、バイクはトラックや乗用車が出た後、一番最後に下船となることが多いです。

下船時の車両甲板はトラックや車の排気で空気がよくないので、直前まで客室で待機する方が良いです。とはいえ、早く走り出したい気持ちが勝って早々に車両甲板に降りてしまいがちです。

よほど混んでなければ着岸後30分以内には船から出てこられます。

片道だけフェリーという手もある

まずはフェリーで目的地に行ってから陸路で帰るパターンも

船旅+ツーリングのテクニックとして、往路または復路だけフェリーを使うという手もあります。

ひとつはフェリーで遠くまで行ってから、いろんな場所をめぐりながら陸路で帰ってくるパターン。

もうひとつは陸路で遠くまで行ってから、帰りはフェリーでゆっくり休みながら帰って来るパターンです。

コストと体力のバランスを取りながら遠くに行く方法としておすすめです。

まとめ

ツーリングにフェリー移動を加えることで旅が大きく充実します。

少々お金と時間はかかりますが、海を渡るという非日常を味わいながら、身体を休めつつ遠い場所へ行けるので対価に見合うメリットが得られます。

また、船旅は旅ライダーとしての経験値を上げてくれます。

港への到着時間から逆算したペース配分を考えたり、同乗するライダーたちの旅装備を参考にしたり、船の上でひとり時間を過ごしたりと、旅のスキルを上げる要素が盛りだくさんです。

次回は、「実践編」として船旅メインのツーリングに出かけてみます。

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