2024年のSSTRのレポートです。
この年は元日に発生した能登地方の地震の影響で開催が10月に延期。9月には大雨災害と悲しい出来事が続きました。
そんな状況でも無事開催までこぎつけてくれた運営の皆様と、大変な時期に大勢のライダーを受け入れてくださる地元の方々に感謝です。
SSTRになじみがない方は、細かいルールやノウハウを以下の記事でまとめていますのでどうぞ。
2024年の追加ルール
ゴール(完走)の条件
まず、2024年は例年の5月開催が延期され、10月の開催となりました。そんな背景もあってルールが若干変更されています。
立ち寄りポイントのクリア条件緩和
昨年は15点以上がクリア条件だったのですが、今年は12点になっています。5月の開催が10月に延期されたことで日照時間が短くなった分、ポイントの条件が緩和されたものと思われます。
立ち寄り地点の追加
開催延期の発表時に「被災地の復興支援につながる形での開催」というアナウンスもされていました。それが形となったのが次の2つの立ち寄り地点の追加です。
指定能登半島地震被災地応援ポイント
能登半島の道の駅を中心とした立ち寄り地点です。1か所につき3点を獲得できます。
当初はこれらのポイントの中からかならず1か所を訪れることが完走条件に加えられていましたが、9月の大雨被害を受けて廃止されました。
地域経済の復興を目的に、多くの人が訪れるように設定された条件だと思われるので非常に残念です。
また、被害の大きかった珠州市、輪島市、能登町の立ち寄り地点は除外。穴水町以南のスポットは立ち寄り可能で、予定通り3点が与えられます。
自然災害伝承碑ポイント
全国各地の自然災害にまつわる碑がある立ち寄り地点です。1か所につき1点を獲得できます。
日本は自然災害大国。台風は毎年やってくるし、地震もあるし、ときには津波や火山の噴火も起こったりします。近年ではゲリラ豪雨や豪雪による被害も耳にするようになりました。
大きな災害が起こるたびにその惨禍を忘れぬよう、慰霊碑や記念碑などが全国各地で建てられてきました。
元日から大きな地震があった2024年。改めて自然災害の恐ろしさを認識し、過去の災害を心に刻んでいく機会として、今回はこの立ち寄り地点が設定されたのではないかと想像します。
まずは近所の自然災害伝承碑ポイントから訪れてみるのもいいかも。
最短でのゴールを目指す
当日は雨の予報
エントリーは10月19日(土)、3週間の開催期間のうちの最後の出走日です。
まずは天気を調べてみます。石川県羽咋市:雨、降水確率100%・・・
雨男の自覚は十分にあるのですが、早い段階で100%の予報をされるとは予想外。
しかし、参加費を払って、宿も予約しているので、今さらやめるわけにはいきません。
雨装備を万全にしてSSTRに臨みます。
レインウェアはめんどくさい
雨の中走るのはそんなに苦にならないのですが、SSTRのように長距離を走る場合は面倒です。
なぜなら、休憩のたびにレインウェアの脱ぎ着しなければならないから。
まず休憩しようにも、レインウェア脱ぎ着するために屋根がある場所を探す必要があります。これがなかなか難しい。
屋根がないところでレインウェアを脱ぎ着してると結局濡れるし、脱いだウェアやヘルメットの始末にも困ります。
さらに一度濡れたレインウェアを再び着るときの気分は最悪です。
「じゃあ脱がずにいれば?」というと、そうはいきません。
今度はお店に入ったりすることができなくなります。ずぶ濡れで店内をウロウロするのも迷惑だし、床や商品を濡らしてしまうかもしれません。
せっかく遠くまで来たのに、ゆっくり食事したりお土産を見たりできないのはもったいない。
というように、雨が降るとバイクを降りたときの自由度が極端に下がります。
しかも、今年は秋の開催で、例年より持ち時間が3時間ほど短いのです。
レインウェアを脱いだり着たりする時間を入れるとかなり慌ただしい旅になってしまいます。
以上から、今回はできるだけレインウェアを脱がなくていいように最短ルートでゴールを目指す作戦としました。
「最短」といっても距離のこと。タイムアタックをするつもりはありません。
ルート計画
まずはスタート地点の選択です。
最短を目指す場合、伊勢湾がゴール地点から最も近い太平洋岸になります。湾の一番奥まった部分、名古屋市の湾岸からスタートするのがよさそうです。
できるだけ海が見える場所からスタートしたいので、出発地点は名古屋市港区の金城ふ頭にしました。
次は、かならず立ち寄らなければならない指定道の駅。
スタートからゴールまでのルート付近にある指定道の駅は「道の駅 メルヘンおやべ」しかありませんでした。よって、指定道の駅はここで決まりです。
あとは残りの9点を稼ぐための立ち寄りポイント。
高速道路のSA/PAは1点しかもらえませんが、たくさんあるのでゴールまでに必要な点数を稼ぐことはできます。
名古屋の金城ふ頭からスタートして、東海北陸自動車道のSA/PAで立ち寄りポイントを加算しつつ富山まで北上。そして、指定道の駅を通過してゴールというざっくりとしたプランが完成しました。
走行距離は270km。これでほぼ最短と思われますが、何だか物足りない。ほとんどが高速道路で、本当に移動しているだけになっています。
雨の中あまりウロウロしたくないし、かといって高速道路ばかり走るのもつまらない。というわけで、SSTRらしい達成感が味わえるように少しアレンジを加えます。
今年は従来の立ち寄りポイントに加え、被災地応援や伝承碑などが追加されています。そこで立ち寄りポイントの種類をいろいろと集めてみようと思います。もちろん最短距離で。
なお、最短距離を目指すので「岬ポイント」だけは除外します。
そのほかの立ち寄りポイントをルート上に置くと、適度に一般道の区間が入っていい感じです。
若干距離は増えて289km。それでも、SSTRではまだ短い方です。
千里浜なぎさドライブウェイ通行止め
出走前日、予報通り翌日の天気は雨。腹をくくって行くしかありません。そこに追い打ちをかけるように残念なニュースが事務局から届きます。
明日、10月19日(土)はSSTR2024開催最終日となりますが、残念ながらゴール会場は雨天の予報です。併せて千里浜なぎさドライブウェイが通行止めになる可能性も非常に高くなっております。
もし通行止めとなった場合は下記の措置を取らせていただきます。必ずご確認いただき、周辺道路が混雑することのないようスムーズな通行をお願いいたします。
(中略)
当日、千里浜なぎさドライブウェイが通行止めとなった場合は、SSTRシステムの画面上にお知らせを表示いたします。
確かに海の横を走るので波が高いと危ないのは当然。通行止めになることはまったく想定していなかったのでショックです。
「じゃあ、どこへ行けばいいの?」 続きに書いてありました。
SSTRシステムのゴール登録は羽咋市役所を中心に半径10㎞圏内ならどこでも可能です。圏内に入りましたら、なるべく混雑を避けて安全な場所でゴール登録をお願いします。
ちなみに「羽咋市役所を中心に半径10㎞圏内」を調べてみると羽咋市のほぼ全域でした。つまり、羽咋市内であればどこでもゴール登録ができるようです。
雨に通行止めのおそれと、かなり不穏な幕開けとなりそうです。心配しててもしょうがないので出走に向けて早々に床につきます。
結局、翌朝SSTRシステムで正式に通行止めがアナウンスされました。
SSTR出走中
スタート地点まで移動|自宅(5:20)
無事早起きできて、スタート地点へ向かいます。
最悪、自宅からレインウェアで出発することを覚悟していましたが、幸い雨は降っていません。ただ、油断は禁物。こういう場合はレインウェアに着替えるタイミングが重要になってきます。
スタート|名古屋 金城ふ頭(6:05)
千里浜なぎさドライブウェイから一番近いと思われる太平洋岸、名古屋市港区の金城ふ頭からスタートです。
日の出時刻は6:02。「この先海」という非常にわかりやすい看板の前でスタート地点を登録。これで1つめの完走条件「日本海の反対側から日の出時刻以降にスタート」はクリアです。
最初の立ち寄りポイント|伊勢湾台風浸水位標識(6:37)
はじめに行くのは名古屋市内にある伊勢湾台風浸水位標識です。30分ほど走って到着。区役所の敷地内に看板がありました。
1959年の伊勢湾台風は東海地方に甚大な被害を与え、犠牲者は5000人を超えています。
現代では、1つの台風でそこまでの被害が出ることは考えにくいですが、当時は避難指示がうまく伝わらず、高潮や洪水によって被害が大きくなったようです。
「伊勢湾台風」という名前はよく耳にしますが、ここまで大きな災害だったとは知りませんでした。
1つ勉強になったところで地点登録。今回のSSTR初得点は「自然災害伝承碑ポイント」から。まずは1点獲得です。
高速道路で一気に北上|東海北陸自動車道(7:20~9:25)
東海北陸自動車道の一宮ICから一気に北上します。出発時には明るかった東の空もこのころにはすっかり曇り空です。しかし、まだ雨が降る気配はありません。
30分ほどで木曽川を越え、岐阜県に入ってくると空がさらにどんよりしてきます。路面が湿っているのでさっきまで雨が降っていたようです。
ちょうど休憩を予定していた長良川サービスエリアに入る直前でシールドに雨粒がつきはじめました。ここで雨装備に変更です。
レインウェアを着て、バッグにカバーをかけます。この時点で雨は降っていませんが、この先確実に降ってくるので着替えるタイミングとしてはここが最適でしょう。
レインウェアは雨が降り出す前に着るのが鉄則。降り出してからだと結局濡れてしまうからね。
ここまでスタート地点から約70km。地点登録を済ませて出発です。高速道路サービスエリアなので1点が加算されます。
長良川SAを出てからしばらくは濃霧。そして、白鳥ICを過ぎたあたりからとうとう雨になります。ちなみに、これ以降は少しの止み間はあるものの、基本的に雨が降っている状態です。
びっくりボーナスポイント獲得|御母衣湖インクライン(10:00)
荘川ICで高速道路から降りて、ここから白川郷までは下道です。この区間はレイクサイドコース。御母衣湖沿いにR158を進みます。
次に狙うのは「びっくりボーナスポイント」です。目指すのは御母衣湖インクライン。
「びっくりボーナスポイント」は毎日午前0時にSSTRシステムのマップ上に追加されます。日替わりで場所が入れ変わると思ってましたが、この場所は連日指定されていました。
工事区間が多く、片側相互通行の信号に何度も引っ掛かりながら指定ポイントに到着。湖が見えるパーキングエリアだろうと勝手に想像していたのですが、工事関係者の待機所みたいな場所でした。
別の意味でびっくりしたところで地点登録。びっくりボーナスポイント3点を追加し、ここまでで5点獲得です。
徐々に雨脚が強まる|御母衣ダム~白川郷(10:24~11:10)
ここからは普通の道の駅で点数を積み重ねます。まだ雨が降り続く中、淡々と走ります。
まずは道の駅 飛騨白山。屋根付き駐車場がないのでレインウェアは着たままトイレ休憩だけ取ります。
また30分ほど走って、道の駅 白川郷でさらに2点追加。雨は止んでいますが、レインウェアは着たままでいた方がよさそうです。
ここまでで9点獲得。あと3点で立ち寄りポイント12点を達成できます。
しかも時刻はまだ11時台。お昼時までまだ時間があるのでもう少し走ります。再び東海北陸自動車道に入り、富山方面へ。
指定道の駅&ランチ休憩|道の駅 メルヘンおやべ(12:14)
高速道路に乗ってからは天気が回復。一時的に晴れ間が出るほどでしたが、雨雲レーダーを見る限りたまたま止み間に入っているだけなので油断はできません。
とはいえ、この止み間のおかげでずぶ濡れだったレインウェアがうっすら乾いてきました。
濡れたレインウェアは始末が大変。雨が上がっても、しばらく着たまま走って乾かす方が賢明です。
12時過ぎに道の駅 メルヘンおやべに到着。完走条件の「指定道の駅への立ち寄り」と、「立ち寄りポイント12点以上」を同時に達成しました。
あとはゴールとなる羽咋市まで行けば完走です。ここからゴールを目指せば、ちょうど14時ごろには到着します。
しかし、今回は最短ルートを目指しつつ、岬ポイント以外の立ち寄りポイントをすべて訪れるという目標があります。
残すは「指定能登半島地震被災地応援ポイント」ですが、時刻はちょうど正午過ぎ。レインウェアも乾いていて、脱ぎ着しやすいのでお店に入るチャンスです。
北陸ではポピュラーな「8番らーめん」が近くにあったので、ここで本日初の大休止。長良川SAからずっとレインウェアをきたままで、満足な休憩が取れずにいたのでちょうどいいタイミングです。
指定能登半島地震被災地応援ポイント|道の駅氷見(13:48)
「8番らーめん」を出て、走り出した途端に土砂降りの雨。
最後の立ち寄りポイント 道の駅 氷見を目指します。小一時間ほどで着く距離ですが、ここからがハードでした。
雨粒が激しくたたきつけ、視界も路面状況も最悪です。なんとか道の駅氷見にたどり着いたものの、激しい雨で地点登録するのがやっと。
被災地応援ポイントということで何か買い物でもと思っていたのですが、レインウェアを脱ぎ着できるような場所がなく断念しました。
ゴールまでの道のり|国道415号 羽咋市入口(14:20)
先述の通り、この日は千里浜なぎさドライブウェイが閉鎖されているため、羽咋市役所から10km圏内でゴール登録が可能です。
そういえば雨ばかり気になって、どこでゴールするかを決めていませんでした。
事前の案内によると、完走証の受け渡しは翌日もやっているそう。雨も降ってるし、早々にゴール登録して宿に引き上げることも今なら可能です。
しかし、ここまで来たら目指すは千里浜なぎさドライブウェイしかないです。通行止めですが、入り口まで行って記念撮影ぐらいしとかないと、ここまで走ってきた苦労が報われません。
ゴール
SSTR2024ゴール|千里浜なぎさドライブウェイ 今浜口(14:47)
千里浜なぎさドライブウェイの今浜口に到着。ゴールの受付開始から1時間もたっていないのでバイクの数もまばらです。
まずはゴール地点の登録を済ませます。これでSSTR2024を無事完走!
ゴールの達成感よりも、雨の中、完走できたという安心感の方が強かったです。砂浜を走れないのは残念でしたが、すぐに「また来年もあるさ」という気持ちになりました。
ちなみに、モニュメントの前には記念撮影の順番待ちができていて、後ろに並んでいる人が前の人を撮ってあげるというサイクルが自然と生まれていました。
ゴール会場に到着|能登千里浜レストハウス(15:28)
本来なら千里浜なぎさドライブウェイを通ってゴール会場まで行けるのですが、今回は残念ながら通行止め。
国道に戻って8km先のゴール会場を目指します。案内看板と係の方に誘導されて駐輪場へ。少し早い時間帯なのでバイクの数は少な目です。
まだ少し雨が降っているのでレインウェアのままで会場へと向かいます。ここでは、みんなレインウェアを着ているので一人浮いてしまうようなこともありません。
駐輪場から能登千里浜レストハウスまで500mほど歩いた場所がゴール会場です。
まずは記念品(フィニッシャーズバッヂ)の受け取りから。窓口でSSTRシステムの完走画面を見せるともらえます。
ゴール会場ではトークイベントや貝汁の無料提供などが催されていました。雨のせいか、時間帯が早いせいか、空のブースもあってちょっとさみしい印象。
フィニッシュゲート周辺も人影がなく寂しげ。とりあえず記念に歩いてくぐっておきます。バイクではくぐれなかったけど、歩いて通過というのもいい思い出になります。
まとめ
持ち時間が少なく、雨に降られるのが確実だった今年のSSTR。最短かつ多くの種類の立ち寄りポイントに行くことを目標に走りました。
単に千里浜を目指すだけなら、さらに短い距離と時間で行けますが、それでは単なる「移動」になってしまいます。
走った距離こそ短いですが、立ち寄りポイントの種類はバリエーションに富んでいて、自分なりには満足です。
雨にはたくさん降られるし、千里浜なぎさドライブウェイは通行止めだし、あんまり楽しめないだろうとあきらめていたのですが、実際に走って、濡れて、ゴールすると、昨年よりも達成感がありました。
これがSSTRじゃなかったら、わざわざ雨の中を走って石川県まで行こうとは思わなかったでしょう。
そう考えると、SSTRはライダーの経験値を上げてくれる最高のイベントだと思います。来年も自分なりのテーマを掲げてSSTRに参加しようと思います。
来年は晴れますように!
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