失敗しないツーリング計画

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ツーリングの定義は人それぞれ。日帰りメインの人もいれば、泊まりがけじゃないと出かけた気がしないなんて人もいます。

しかし、最も大事なのは時間の長さではなく、自分がどれだけ楽しめたかです。せっかくバイクで出かけるなら十分に楽しまないと損ですよね?

そこでツーリングを充実させるために重要なのが事前の計画。今回は楽しく安全にツーリングをするためにおさえておくポイントを紹介します。

目的地を決める

まずは行き先が決まらないと始まりません。見てみたい場所、食べてみたい料理、走ってみたい道などが決まって入れば目的地はすぐに決まります。

行って帰るだけではもったいないので、目的地周辺や往路、復路で立ち寄りたいスポットを探しましょう。

アテもなく出かけて、意外な発見や偶然を楽しんだりするツーリングもありますが、いつもそのようなことが起こるとは限りません。

慣れないうちは計画してから出発することをおすすめします。

ふらっと出かけて、思いがけない景色に出会えることもあります。

厄介なのは、特に何か見たいとか食べたいとかがなくて、行きたい場所がないとき。ベテランになってくると、だいたいの場所(特に自宅の周辺)には行っているのでなかなか腰が重いです。

それでもバイクには跨りたいという気持ちがあるなら「先っぽ」を目指しましょう。「先っぽ」とは、つまり岬。半島の先端部分です。

ライダーには「先っぽ」を目指す習性があります。目的地としてわかりやすいのと、踏破したという達成感が得やすいためだと思われます。

また、折り返すためのきっかけがあるという点も挙げられます。このきっかけがないと、ついダラダラと走ってしまうというのはよくあることです。

一方、岬を目指していれば先端で行き止まりになるので、到着したあとは引き返すしかありません。自動的に折り返すためのきっかけが与えられます。

ライダーにとっては達成感と折り返す機会を与えてもらえる便利なスポットなので目的地としておすすめです。

期間を決める

時間があれば船旅で北海道や九州にも行ける。

期間は自由になる時間や予算、行きたい場所の数、目的地までの距離でだいたい決まってきます。

日帰りの目安は片道150km

観光や食事、休憩をしながらゆったりツーリングをすると、1日で200~300kmぐらい走れます。高速道路を使えばもう少し距離が稼げます。

ただし、日帰りの場合はどこかで折り返して帰ることになるので、実際の行動半径はこの半分。自宅から約150km圏内となります。

住んでいる場所にもよりますが、関東だと、東京から伊豆、箱根、富士山、軽井沢、日光あたり。関西だと、大阪から淡路島、舞鶴、琵琶湖、伊勢、白浜といったところでしょうか。

富士山は東京方面からアクセスルートがいくつかあるので行きやすい。

宿泊なら1日300km以内で計画

これは人やバイクにもよりますが、1日の走行距離は300km以内を目安としておきましょう。この距離なら走りを楽しみつつ、観光や休憩も適度に入れられるので非常にバランスがいいです。

泊まりがけなら東京や大阪から日本海側まで行ける。

もっと遠出したいのなら、高速道路を使うと1日に500km以上は走れます。ハイスペックなマシンに乗っていれば性能を十分に発揮しながら走りを楽しめることでしょう。

一方、非力なマシンの場合、バイクへの負荷が高く、景色の変化も少ないので、走りが単調になりがちです。

できるだけ泊まりの方がいい

計画に宿泊を入れると一気に行動範囲が広がり、日帰りでは行けなかった場所にも行けるようになります。

目的地までの距離が200km以上の場合は泊りがけで行くことをおすすめします。

200kmでも日帰りは可能ですが、目的地で過ごす時間配分や帰りの渋滞のことなど、何かと気にしなければならないことが多くなります。

時間に追われる旅は楽しくありません。同じ工程をめぐるにしても、泊りがけで行く方がより充実した旅になるでしょう。

さらに宿泊にすることで、日帰りにはない楽しみも増えます。

1日中楽しめる

泊りがけだと、知らない土地を日が暮れるまで走っていられる。

まず、その日の終わりまでツーリングを楽しめるのが最大の魅力です。宿に着くまで知らない土地を走るので、ずっと新鮮な気持ちで走っていられます。

これが日帰りだとそんな気分にはなりません。家が近づくにつれて日常の風景が戻ってくると、淡々とした気持ちで走っていることが多いです。

泊まりツーリングでもいずれ家路につく場面がやってくるのですが、日帰りとはぜんぜん気分が違います。

たった1日留守にしただけでも、家が近づくにつれて無事戻って来れた安心感や、旅を完遂したという達成感が湧いてくるから不思議です。

宿に着いてからも楽しめる

温泉地であれば、食事付きの宿がおすすめ。お風呂にゆっくり浸かって疲れを癒してから、豪華な食事をいただくことができます。

一人旅で部屋食ができる宿もあったりする。

街中のビジネスホテルに泊まる場合でも楽しむ方法はあります。

まずは街中を散策。街の雰囲気を感じつつ、夕食のお店探しもいいでしょう。

宇都宮の「餃子通り」。知らない街を散策するのも旅の楽しみ方のひとつ。

食事はその土地でしか食べられないものを。お店で食べるのもいいですが、スーパーで地元のお惣菜を買って帰るのもアリです。

東北ではスーパーのお惣菜で「はらこめし」が売られている。

ちなみにスーパーはお惣菜だけでなく、食材や調味料も土地柄が表れているので意外と楽しめます。

太宰治の出身地青森ではこんなパンも売られている。

また、地元の人がしゃべっている言葉に聞き耳を立ててみると面白いです。いつもと違うイントネーションや方言が出てくるので遠くに来たことを実感できます。

ルートの設定

目的地と期間が決まったら「どのように回るか」を決めます。

ルート設定にはいくつかのバリエーションがあります。期間、距離、目的地の数に応じて決めましょう。

単純往復

自宅から目的地へ向かい、同じ道を通って帰って来るルートです。わりと近場で、お目当てのスポット以外に立ち寄る予定がないときや、短時間で遠くのスポットを目指すときはこのパターンになります。

現地周遊

単純往復の発展型です。自宅から目的地に向かい、目的地周辺をじっくりと回ってから帰って来るルートです。高速道路で一気に移動したり、現地で1泊したりすることが多いです。

たとえば、東京から京都へ移動して、市内観光をして帰るとか、1泊して郊外まで足を延ばしてから帰るとかいったイメージです。

全域周遊

広範囲にわたって各地のスポットを巡るルートです。複数の目的地が分散しているときに、それらをつないで周遊コースを作ります。

出発したルートとは別のルートで帰って来るので飽きがこないのが特長です。このパターンは長期で宿泊をともなう旅に向いています。日帰りでも可能ですが、回れる範囲は限定されます。

太陽の位置を意識する

ツーリングに出かけるときは晴れているに越したことはないのですが、日差しが気になる場面もあります。

特に、早朝や夕方は目線の高さに太陽が入ってくるので、まぶしさが気になります。朝に東へ、夕方に西へ向かって走るときは注意が必要です。

まぶしいと周囲が見にくくて危ないですし、目の疲れの原因にもなります。これが長時間におよぶと角膜の日焼けによる目の痛みや、光による片頭痛が起こったりするのでいいことはありません。

サングラスやスモークバイザーで対策はできますが、一番良いのは太陽に向かって長時間走ることがないルートを設定することです。

基本的に朝は西に向かい、夕方は東に向かうのがおすすめです。これだと太陽を背に受けて視界も良好です。

いつもできるとは限りませんが、目的地に向かう時間帯に太陽がどの位置にあるか意識しておくとルート選びの参考になるでしょう。

高速道路は積極的に使う

一般的にライダーは「無料」や「タダ」という言葉に弱いです。ツーリング雑誌には無料スポットや安い宿の紹介が必ずと言っていいほどあります。

お金を使わずに済むに越したことはないのですが、むしろ使わないとツーリングが存分に楽しめなくなる場面もあります。

その代表が高速道路。うまく使うことで時間を有効に使えます。

今さらですが、高速道路のメリットは早く目的地にたどり着けることです。その対価として料金を支払っています。

つまり、時間をお金で買っているのです。あまりにもお金にこだわり過ぎてしまうと、限られた時間を失うことにもつながるので、次のような場面では高速道路を使うことをおすすめします。

  • 目的地までの距離が長い
  • 一般道が渋滞している
  • 日没が近い
  • 疲れている

目的地で過ごす時間が短くなったり、疲れや日没で事故のリスクが増しそうなときは、迷わず近くのインターを目指しましょう。

最近では二輪車限定の周遊プランなどもあるので、これらを活用すれば一定額で済みます。このプランだと、2日間または3日間で一定エリア内の高速道路が乗り放題になります。

運営はNEXCO中日本、東日本、西日本でそれぞれ分かれていて、各社での会員登録が必要です。NEXCO東日本のホームページがわかりやすかったので紹介しておきます↓

NEXCO東日本[ドラ割]ツーリングプラン

バイク旅で避けること

一番やってはいけないのが「無理すること」です。無理すると事故やトラブルにつながりやすいので次に挙げることには注意しましょう。

計画通りに進めようとする

予期せぬ通行止めも予定が狂う原因。

何がなんでも計画をすべてこなそうとすると心に余裕がなくなります。

時間が押してくると「せっかくここまで来たのだから」という心理が働いて、知らず知らずの間に「予定通りに進めなきゃ」という気持ちに変わってきます。

この気持ちは焦りにつながります。結果的に周囲の景色を楽しむ余裕がなくなり、せっかく目的のスポットを訪れても時間が気になって気もそぞろという状態に。

楽しむ目的で出かけたはずが、いつの間にか計画をこなすという目的にすり替わってしまうパターンです。これはベテランでも陥りがちです。

計画にこだわり過ぎると運転にも影響します。次を急ぐあまりスピードを上げて挽回しようとしたり、無茶な運転になったりと、良いことが1つもありません。

せっかく旅に出たのに時間に追われてばかりというのはもったいないです。

余裕がないと街中の意外な風景にも気付けなくなる。

先述のように、高速道路を活用して挽回できるようなら問題ないですが、それでも挽回できないようなら早々にあきらめてしまいましょう。

計画が甘かったと反省して、あきらめたスポットは次回の楽しみとして取っておく方が精神的にも健全でいられます。

日没後に走る

夜間の走行は事故のリスクが一気に高まります。

単純に視界が狭まるので、スピードやコーナーの角度を見誤っての単独事故のおそれがあります。また、相手側の車両がこちらの存在に気付かないことでの事故もありえます。

車両からすると、バイクは小さくて移動速度が速いので気付きにくいものです。ましてや夜間ともなるとなおさらです。

このようなリスクを回避するには、とにかく日没後は走らないこと。1日の計画は夕方には終わるように心がけ、終わりそうになければ残った計画は潔くあきらめて、日没までに帰り着くようにしましょう。

夜の山道なんかで事故ったらと思うと・・・

夜景を見に行くなどであえて夜に走る場面もありますが、そんなときは十分な車間距離を取り、対向車の動きにも注意を払って運転しましょう。特に対向の右折車の動きには要注意です。

まとめ

バイク旅を計画するときのポイントをまとめると次のとおり。

  • 1日の走行距離は300kmまで
  • 宿泊を入れると行動範囲が広がり、丸一日楽しめる
  • 高速道路は時間を買うものとして積極的に利用する
  • 計画通りにいかなくても気にしない
  • 日没後の走行は避ける
  • とにかく無理しない

一番大事なのは最後の「とにかく無理しない」ことです。バイク旅の楽しみ方は人それぞれですが、これだけ守っていれば楽しく安全に過ごせます。

雨のときはただ雨の中を走るだけ。

計画通りに進まなくてもいいし、高速道路でお金を使ってもいいのです。雨が降ったら濡れればいいし、疲れたら休めばいいのです。日没が迫ってきたら、その日のプランをあきらめて帰ればいい。

とにかく、事故やケガをしないで1日が終えられれば、その旅はいずれいい思い出になることでしょう。

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